【シリーズ最終回】 「子育てのストレスと上手に付き合う」 第5回 総集編 岩澤寿美子さん 

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 「子育てのストレスと上手に付き合う」をテーマに5回シリーズとして、
社会福祉法人 嬉泉 清瀬市子どもの発達支援・交流センター とことこセンター長
岩澤 寿美子さん(臨床発達心理士 公認心理師。執筆当時:女子美術大学非常勤講師)にお話を伺っていきます。

親子のストレスへの対応についてや子どもの成長を促すポイントについてなど、
普段の生活の中で無理なくできることをお伝えしていきたいと思います。

シリーズ最終回 

子育てのストレスと上手に付き合う 
総集編


つぶやき

 外を歩くときに手をつなぎたがらないし、
スーパーに行けば、どこか勝手に行ってしまう。
家でも食卓で食べていたかと思うと途中なのに遊び始める…。
何で落ち着いていられないのかしら。」

アドバイス

ギュッとされるのを嫌がるとわかっていても、手を放しては危ない!どうしましょう?
やってほしいいこと(手をつないで)を事前に伝えることも大事。
手をつながずに一緒に歩く方法はないかな?
例えば…輪投げの輪を介して、2両編成の電車ごっこで歩いてみてはどうでしょう。
気になるおもちゃは、食事の間は、「ごはんを食べ終わるまで待っててね、食べたらまた来るよ」
なんて言いながら、子どもと一緒に布をかけて視界に入らないようにしてしまいます。
ソフト面での環境調整では気持ちの代弁や肯定的な声掛け(やるべきことを具体的に伝える)、
ハード面では、場所や位置の工夫で随分落ち着くことも考えられます。

ポイント

“なんでそんなことするのかしら?”と考えてみることはとても大事です。Aちゃんの気持ちを氷山モデル(図)を思い描いて考えてみましょう。水面上に「見える行動(=大人が困っている)」、水面下に考えられる「子どもの事情・気持ち」を書いてみます。

おしゃべりができる=気持ちを表現できると思いがちです。子どもも自分の気持ちに気が付いていないこともあります。
おとなが、その気持ちを察してことばかけすることで、子どもも自分の気持ちに気が付くようになります。

つぶやき

「子どもを怒ってばかり…。一日が終わると何であんなに怒ったんだろう…。
ニコニコと子どもを見守る、いつもやさしく素敵な母親でいたいのに。」

アドバイス

子どもが初めて寝返りをした時、初めての一歩をあなたに向かって歩んでくれた時、心の底から喜んだあなたはいませんでしたか?今どうでしょう…。元気に歩いている我が子を嬉しく思うどころか、立ち止まらない我が子を叱責してしまう自分がいる。
残念ながら、期待を押し付けて叱るだけではその通りになってくれないのが子どもです。
“ほめて育てよ”と言われても我が子にほめるところなんてないわ!という声が聞こえてきそうです。
実は「ほめる」ことよりも“認める”ことが大切です。
子どもの好ましい、望ましい行動を具体的(見える・聞こえる・教えられる形)に思い出してみましょう。

ex.1

「妹に優しい」⇒妹におもちゃを貸してあげる
5分間、母親がそばにいなくてもケンカをせずに遊ぶ
たとえその後、おもちゃの取り合いになったり、ケンカを始めても、
まずは最初の「妹におもちゃを貸してあげる」という望ましい行動に注目するのが“認める”ということです。

ex.2

「言われたことをやる」⇒宿題の準備を始めた
食事の声掛けで手を洗いに行った
「課題を完全に終えた時にほめよう」と思うと、終えるまで怒り続けることになりかねません。
まず、宿題のあることを思い出した、遊びの途中でも返事した、
など取りかかろうとすることに注目するのが“認める”ということです。

やるべきことの25%くらいのタイミングで注目し、認めていることを伝え、ほめてみましょう。

ポイント

子どもの行動への注目は、
否定的な注目  ~注意する、叱る、ため息をつく~
肯定的な注目 ~ほめる、認める、笑顔を返す~

そのどちらも子どもの行動の強化(強める)につながります、強化したい行動を大人が認めていくことが大事です。好ましい行動に注目した後は、

<ことばで伝える・興味や関心を示していることを伝える>
ほめる:具体的な行動(オモチャ貸してあげたんだね、宿題思い出せたね)+エライよ
身体に触れる:そっと頭をなでる、ハイタッチ等

小さなお子さんの例をあげましたが、思春期にさしかかったり、口も利かない時期に突入した子ども、イライラのタネをぶつけてしまうパートナーにも通用します。そっと微笑む、「ありがとう」と口に出して伝える等、相手によって工夫してみてくださいね。相手を認めること、行動の背景を考えて「〇〇だったんだね」と伝えることで、お互いの関係性が変わるはずです。子どもだから、子どもなのに、ではなく、たった一人しかいない存在としてのBちゃん、Cくんとして関係を作っていけるといいですね。
これまでシリーズをお読みいただきありがとうございました。(岩澤)

<参考文献>

・こうすればうまくいく 発達障害のペアレント・トレーニング 実践マニュアル 上林靖子監修 中央法規 2009

・むずかしい子を育てる ペアレント・トレーニング 野口啓二著 明石書店 2015

・育てにくい子に悩む 保護者サポートブック 高山恵子監修 学研教育出版 2012