2004年10月2日(土)〜3日(日)の2日間、全国49支部の代表者が集まり、本部および支部の状
況報告を行うとともに、当面している課題についての検討を行った。
特に、各支部の取り組みで成果のあがっているものを紹介し、全体の成果につなげていくこ
とを意識し、活発な質疑・意見交換が行われた。
以下に要点のみ紹介。
1.中央情勢報告(石井会長)
1)自閉症を社会的に認知する大きな動き
自閉症は長い間にわたりきちんとした位置づけがされてこなかったが、いまだ到来しな
かった大きな動きとなっている。
(1) 発達障害者支援法成立に向けて

障害者基本法の見直しもあ
ったが、まだ、我々が納得で
きるまでには至っていない。
このような中で、発達障害
者支援法を成立させるための、
超党派の議員団が結成され、
厚生労働省と文部科学省、議
員、そして関係者が加わって
勉強会が行われ、国会で成立
を目指すところとなった。
協会としての長年にわたる取り組み、関係諸団体との連携・協力などいろいろなこと
が現在の動きにつながっている。何としても成立させたいので、各支部においても、引
き続きの努力をお願いする。
(2) 自閉症・発達障害支援センターおよび特別支援教育
平成17年度の概算要求で、現在の20ヶ所から36ヶ所に大幅に増やす方針が出された。
画期的なことであり、これも発達障害者支援法成立に向けた動きからつながったものと
考える。
特別支援教育についても自閉症の位置づけを明確にしている。
(3) その他
公的機関の就労に関する委員会についても近々立ち上げる予定がでてきた。
協会の中も活性化してきている。時代の流れの中で、各支部が活動してきたことが、
こうした情勢をもたらせてきたものと考える。
2)社会の動きと自閉症に関する課題
(1) 構造改革路線と自閉症の支援
現在のいろいろな動きは小泉内閣の構造改革路線が大きな背景の一つとなっている。
過去の日本は社会主義国以上に社会主義と言われるように社会福祉政策に対して力点
があった。構造改革はこの見直しの動きであり、これまで小さなものでしかなかった自
閉症への支援がどうなるか重要な課題である。
脱施設化の動きについても、施設の存在意義について現状からよく認識しておかなけ
ればならない。
(2) 社会に巣立つための支援とその後の生活を見守ることが必要
いろいろな事件もおきているが、このような問題をなくすためにも、これまで地域支
援が足りなかったということも考えておかなければならない。社会に巣立つための支援
が必要である。
(3) まず本人の味方でなければならない
言論の自由はあるが、自閉症の研究が進む中で、いろいろなことが言われている。
個々人の人格に関わる批判等は慎む必要がある。研究や実践が未熟な時にはいろいろ
な問題がでてくるが、確実によくなっている。
自閉症は親の育て方と言われた時代があり、これが脳障害となり親の育て方が原因で
はないことが明らかとなってきた。日本自閉症協会は親の会からスタートしたものであ
り、親の視点が基本にある。しかし、育つ過程で親の育て方は全く関係ないとは言えな
いこともあり、いろいろなことが言われ始めてきた。我々は、まず本人の味方でなけれ
ばならない。本人のために関係者が協力して事実を追及していきたい。
3)問題解決の取り組み
(1) 家庭内の課題解決をどうするか
家庭の中で暴力など困難な問題がでることがある。
支援センターができたので、困ったらセンターに相談するということが考えられる。
しかし、センターだけでどうにかできるわけではない。
精神科医療の対応が不可欠となるが、それだけでは不十分で、真に本人や親の相談相
手になるところやシェルターとなる施設が切望されている。
このような支援システムを作っていく必要がある。
(2) 障害の発見から教育
幼児期に判定されると公的システムにある療育機関などに相談にいくが、その療育機
関でも自閉症のわかる人が極めて少なく、対応が不十分である。
重度、軽度という言い方をされるが、何が重度で何が軽度であるか、知的障害の視点
だけで考えることは難しい。
まず、学校教育の場で自閉症という障害を理解してやっていくことが必要である。
特別支援教育については、お金がなくてもやれることはあると、高い意欲で取り組み
が始められたが、現状は難しい課題にぶつかっている。
小・中・高と進む中で、学校教育がどこまで一貫性をもってやっていけるか。
高機能の人の多くが、かなり早期の段階でいじめられる経験を持ち始める。
学力だけではなく人間としての暮らしの重要な力を育てるという学校の性格をきちん
と位置づけていく必要がある。
(3) 自閉症の人々の生活を創っていく
自閉症の人達の生活をきちんと創っていく、長期にわたる活動が必要である。
これに、関連して実践しているところを丹念に取り上げて、育てていかなければなら
ない。
地方自治行政の中に、発達障害をきちんと位置づける必要がある。
(4) 政策委員会の設置
協会として抱える課題は多いが、政策を検討する場がきちんとしていなかった。この
ため新たに政策委員会を設置した。
2.支部報告・情報交換などで出された主な項目
2日に参加した全支部から報告を受け、3日にはその内容をもとに、特に成功事例などの
紹介に力点をおいて情報交換を行った。2日間のことを要約してポイントのみ紹介。
1)自閉症・発達障害支援センターについて
未設置の支部からは、設置の取り組みを進めているとの報告が多くだされた。この中で
課題となっていることも紹介され、実現したところから経過などの紹介がされた。
その中で、行政と協力して設置を進められる関係づくりが成果につながっていることや
支部が中心となって設置に深く関わり、設置後も支部との密接な関わりを持って運営して
いるところは、設置後も多面的な効果がでてきているとの報告がされた。
2)高機能部会の取り組みに関して
高機能部会の設置状況および取り組みについていくつかの紹介がされた。
これから設置する支部、設置後の内容充実が課題の支部がある中で、成果をあげつつあ
る支部もある。具体的にはピアカウンセリングや本人参加の活動から本人部会の設置につ
ながる流れなどが紹介された。これらの取り組みの中で、親のサポート、本人のレクレー
ションから育成支援、本人の障害認知など課題と成果が紹介がされた。
また、協会以外で高機能自閉症、アスペルガー症候群の取り組みをしている組織もあり
それらの組織と連携した取り組みを行い、緩やかに協力しながらよい活動ができている支
部活動の紹介もされた。
3)組織運営について
事務局の業務負荷の問題もあり、NPO法人の法人格を取得した支部もでてきている。
支部組織とNPO法人の両方の組織をどのように運営していけばよいかということにつ
いても意見交換があり、成果があがっている支部の取り組みが紹介された。
本部としても、支部の組織強化のために、これらの課題をどう整理するか、できる支援
と社団法人としての制約からできないことなど課題についての認識をもとに意見交換を行
った。
3.本部としての依頼事項
1)個人情報管理について
会員名簿についての、個人情報管理徹底を要請するとともに、今後本部としても一層の
管理徹底を行うことを含め関連した整備を行う方向で検討するとの認識を示した。
2)保護者以外の会員加入促進について
日本自閉症協会は親の会から社団法人となっており、保護者以外でも多くの人の加入を
受け入れることを基本としており、各支部としても、専門家や本人などの加入を積極的に
進めるよう要請した。
これらを推進するための課題についても、意見交換を行った。
4.研修
1)特別支援教育のめざすもの
<講師:当協会理事、東洋大学教授 宮崎英憲>

1999年に発表された「学習障
害児の教育について」2001年に
発表された「21世紀の特殊教育
について」、2003年に発表され
た「今後の特別支援教育の在り
方について」の大きな改革の流
れから9月に発表された「特別
支援教育を推進するための制度
の在り方について(中間報告)
(素案)」を含め、特別支援教
育についての考え方、今具体的
に進めていること、その中の課
題と展望などについて最前線の
具体的な取り組みについて紹介された。
2)自閉症者施設の役割と必要性について
<講師:あさけ学園 奥野宏二>
地域か施設かというような単純な議論ではなく、自閉症の人が生涯にわたって自立した
生活を実現させるために、必要な支援を考えていく必要があるとの視点で、必要な支援と
いろいろな施設の役割についてその取り組みと考えなければならないことが紹介された。
3)自閉症者にとってのグループホームの在り方について
<講師:ワークセンターけやき 佐々木敏宏>
けやきの郷における具体的な実践例をもとにしながら、自閉症者のグループホームにお
ける自立について紹介された。
※ この内容は、話のポイントをわかりやすくしながら、短くまとめるために、実際の話の順
番にこだわらず、整理・要約して記載しております。
また、全ての内容について、話をされた方に確認をいたしたものではなく、参加したメモ
から作成したものですので、およその参考としてご理解ください。<文責:津田(HP委員長)>