<目次へ戻る>
だれにでも安心な街づくりを
−自閉症の人と共に−
「障害者は街づくりの先導者」
 阪神・淡路大震災や新潟県中越大震災のような直下型地震の被害者の皆さんは、被災の瞬間になにが起きたか分からず、適切に対処することが極端に困難だったと伝えています。防災の基本は、一人ひとりが災害を理解して適切な判断をすることです。
 しかしながら、地域には、一人では災害に対処する力のない「要援護者」がたくさんいます。なかでも、置かれた状況を理解できず、コミュニケーションもうまくとれない自閉症の人たちは、一番大変です。

 障害がある人々の情報アクセスを支援する立場で、防災の問題を研究してきた私の経験から、次のことが最も重要だと考えます。
 一つは、伝えたいことがうまく伝わらず、必要な情報がうまく届かない自閉症の人々の困難を、地域のだれもが理解できるように配慮した「災害マニュアル作り」です。もう一つは、本人も参加する地域での「防災訓練」です。
 これは、自閉症の人自身の防災力を高めるとともに、地域の防災計画や訓練で見逃しがちな不備を、実践的に点検する機会を与え、地域のすべての人の安全を確保するための防災力向上に大きく寄与します。

 そのような意味で、災害に対処することの一番難しい自閉症の人たちの防災力を高めることが、その街の安全を高めることにつながり、自閉症の人も街づくりの先導者になれるのです。

 自閉症の人が安心して暮らせる街は、だれにでも安心な街です。
      河村 宏
デイジーコンソーシアム会長
NPO 支援技術開発機構 副理事長
前国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所 障害福祉研究部長

<目次へ戻る> <次へ進む>